第1回:「どのAIが良いですか?」という質問に答えにくい理由

生成AIの導入を検討する企業が増える中で、よくいただくのが「結局、どのAIが一番良いのでしょうか?」というご質問です。

企業によって、AIに期待することは違う

この質問に一言で答えにくいのは、企業によってAIに期待する役割が違うためです。

例えば、社内マニュアルを検索したい、議事録や文章作成を効率化したい、営業資料を作りたい、定型業務を自動化したいなど、目的によって必要な機能や導入方法は変わります。

そのため、最初に考えるべきことは「どのAIが優れているか」ではなく、「自社はAIで何を実現したいのか」です。

有名なAIを選んでも活用できるとは限らない

実際のご相談では、AIの名前や話題性だけで選んだ結果、活用が進まなくなるケースもあります。

例えば、文章作成や会議の要約が中心なのに、高度なAIエージェント機能を備えたサービスを導入しても、使う場面が少なければ十分に活用されません。

逆に、社内文書の検索や複雑な業務支援を期待しているのに、AI側の機能や性能が足りなければ、満足する回答が得られず、利用頻度が下がってしまいます。

つまり、利用目的に対して機能が多すぎる場合も、足りない場合も、現場では使われにくくなります。

最初は「使われること」を重視する

AI導入の初期段階では、最新機能や高度な仕組みを追い求めるよりも、まず社員が実際に使うかどうかを確認することが大切です。

ただし、導入時点でAIに求めることが明確でない場合もあります。その場合は、最初から完璧な活用方法を決めようとするのではなく、利用ルールを整えたうえで、まずは小さく試してみる進め方も現実的です。

早い段階から取り組むほど、社内に慣れが生まれ、効果や課題も早く見えてきます。どれだけ高性能なAIを導入しても、使われなければ成果にはつながりません。まずは小さく始めて、利用状況や効果を確認しながら、自社に合った活用方法を見つけていくことが重要です。

まとめ

AI導入の成功は、「どのAIを選んだか」ではなく、「AIで何を実現できたか」で決まります。

AI選びは、目的を整理した後で考えても遅くありません。まずは自社の課題や業務の中で、AIをどのように役立てたいのかを明確にすることが出発点です。

ただし、目的が整理できても、次に考えなければならないのが「どう安全に利用するか」という点です。次回は、AI導入で見落とされがちなセキュリティと管理体制についてお話しします。

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執筆者: 赤嶺 奈美(株式会社クロスディーズ プロジェクト進行統括マネジャー)

教育学部を卒業後、株式会社佐々木総研に税務課社員として入社。その後、総務課に異動し、請求業務や勤怠管理に携わる。2019年のICT活用推進課の発足時から所属し、社内文書の電子化やRPAの開発に取り組む。IT未経験から社内DXを推進した経験を活かし、現場視点での業務改善支援やローコードツール研修を担当している。