Power BI初心者がつまずくポイント3選
第2回:DAX(メジャー)編 ~計算結果が意図と異なる理由とは~

■はじめに

Power BIを使い始めると、多くの方がDAX(メジャー)の活用で戸惑う場面があります。

  • Excelと同じように計算式を書いたのに結果が違う
  • 合計は合うのに割合が合わない
  • フィルターをかけると数値が変わってしまう

といった声を耳にすることがあります。
これらは不具合ではなく、Power BIの計算の仕組みに起因するケースが多くあります。
本記事では、Power BIの分析機能を支えるDAXについて、
初心者がつまずきやすいポイントを整理しながら紹介します。

■DAXとは

DAX(Data Analysis Expressions)は、フィルター条件に応じて結果を計算・制御する計算式です。

例えば、以下のように記述します。

売上合計 = SUM(売上[金額])

見た目はExcelの関数に似ていますが、考え方には違いがあります。Excelがセル単位で計算を行うのに対し、Power BIでは、現在の表示条件(フィルター)に応じて集計結果が変化するという特徴があります。

■初心者がつまずくポイント①

Excelと同じ感覚で考えてしまう

Excelでは、各セルに対して値が固定されています。
一方、Power BIでは、レポート上で選択されている条件によって計算結果が変わります。例えば、

  • 年度
  • 担当者
  • 顧客
  • 商品

といった条件によって、同じ計算式でも結果が変化します。
そのため、「同じメジャーなのに値が変わる」といった現象が発生しますが、これは仕様によるものです。
DAXでは、計算式そのものだけでなく、どの条件が適用されているかを意識することが重要です。

■初心者がつまずくポイント②

フィルター条件によって結果が変わる仕組みを理解していない

DAXを難しく感じる要因の一つに、フィルター条件によって計算結果が変わる仕組みがあります。この仕組みを、DAXではフィルターコンテキストと呼びます。

  • 特定顧客の売上
  • 前年売上
  • 累計売上
  • 構成比

といった指標は、レポート上で選択されている条件によって計算結果が変わります。
実務で見られる、

  • 前年比が合わない
  • 累計の値が意図と異なる
  • 割合が100%にならない

といったケースの多くは、このフィルターコンテキストの影響によるものです。

  • どの年度で見ているか
  • どの担当者で絞っているか
  • どの商品を選択しているか

など、どの条件が適用されているかを整理することが、正しい計算結果を得るためのポイントとなります。
この考え方を理解しておくと、次に説明する計算列とメジャーの使い分けも理解しやすくなります。

■初心者がつまずくポイント③

計算列とメジャーの違いが分からない

Power BIには、

  • 計算列(Calculated Column)
  • メジャー(Measure)

の2種類の計算方法があります。
それぞれの違いは以下の通りです。

  • 計算列:データ取り込み時に行単位で計算される
  • メジャー:レポート表示時に集計単位で計算される

初心者の方は計算列で対応しようとするケースも多く見られますが、データ容量の増加や処理速度の低下につながる可能性があります。
用途に応じてメジャーと計算列を使い分けることが重要です。

■CALCULATE関数が理解のポイント

DAXの中でも頻繁に使用されるのが、CALCULATE関数です。
CALCULATEは、集計時の条件(フィルター)を変更するための関数であり、

  • 前年比較
  • 累計
  • 特定条件での集計

など、さまざまな分析で利用されます。初めは扱いが難しいと感じることもありますが、CALCULATEの挙動を理解できるようになると、実現できる分析の幅が広がります。

■DAX上達のポイント

DAXでは、関数を個別に覚えることよりも、計算の前提を整理することが重要です。
具体的には、

  • 何を集計したいのか
  • どの条件で集計したいのか

を明確にしておくことで、式の理解がしやすくなります。計算結果が想定と異なる場合は、「どの条件が適用されているか」を確認すると、原因特定につながりやすくなります。

■まとめ

DAXは単なる計算式ではなく、
フィルター条件に応じて集計結果が変化する仕組みです。
Power BIのレポートでは、表示されている数値がフィルターや表示条件によって変わるため、計算式だけでなく「どの条件で集計されているのか」を意識する必要があります。
DAXの考え方を理解できるようになると、意図した分析結果を再現しやすくなります。
次回は、Power BIの中でもつまずきやすいポイントの一つである「リレーション」について紹介します。

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執筆者: 村瀬 俊昭(株式会社クロスディーズ システム技術統括エンジニア)

前職では社内システムの運用、サーバーの監視、システム運用業務の構築、システム開発業務といった業務に幅広く携わる。2021年より株式会社佐々木総研にてロボットの設計・開発、社内SEとして従事している。釣りが趣味で、大のビール好き。