■はじめに
Power BIを導入して、最初に直面する課題として、
- グラフがうまく作れない
- 集計結果がおかしい
- 更新時にエラーが発生する
といった声を耳にすることがあります。
これらの原因はレポート作成画面にあるように見えますが、実際にはデータを取り込む前の工程である
「Power Query」やデータの持ち方(データモデル)に起因しているケースも少なくありません。
本記事では、Power BI初心者がつまずきやすいポイントとして、Power Queryの基本的な考え方について紹介します。
■Power Queryとは
Power Queryは、Power BIに取り込む前のデータを
加工・整形するための機能です。
例えば、以下のような処理を行うことができます。
- 不要な列を削除する
- 列名を変更する
- 日付形式を統一する
- 複数のファイルを結合する
- データを分析しやすい形に変換する
Power BIでの分析を「調理」に例えると、Power Queryはその前段階である「下ごしらえ」にあたります。この工程が適切に行われていない場合、後続のレポート作成にも影響が出る可能性があります。
■初心者がつまずくポイント①
データ型を意識していない
Power Queryにおいてよく見られる課題の一つが、データ型の不整合です。例えば、売上金額が文字列として取り込まれている場合、
100
200
300
といった値が数値として扱われません。
その結果、以下のような挙動が発生することがあります。
- 合計が正しく計算されない
- グラフが意図通りに表示されない
- DAXの計算結果が想定と異なる
データを取り込んだ際には、
- 数値
- 日付
- テキスト
といったデータ型が適切に設定されているかを確認することが重要です。
特に、Power Queryで自動判定された型については、内容と一致しているかを確認しておくと安心です。
■初心者がつまずくポイント②
元データを直接修正してしまう
Power Queryの特徴として、処理内容がステップとして記録される点があります。
一方で、
「Excelを手作業で修正する」
↓
「次のデータでも同様の修正を行う」
といった運用を行っている場合、この特徴を十分に活かせていない可能性があります。
基本的には、元データはそのまま残し、Power Queryで加工する形にしておくと、同じ処理を次回以降も繰り返し使いやすくなります。ただし、元データ自体に誤りがある場合は、Power Queryで無理に対応するのではなく、元データ側で別途修正が必要です。
■初心者がつまずくポイント③
処理の順番を理解していない
Power Queryでは、設定した処理が上から順番に実行されます。
例えば、
①列Aを削除
②列Aを使って計算
という手順になっている場合、後続の処理でエラーが発生します。
このように、Power Queryでは処理内容だけでなく、実行される順序も重要な要素となります。エラーが発生した場合は、適用されたステップを上から確認していくことで、原因を特定しやすくなります。
■上級者ほどPower Queryに時間をかける
Power BIの活用においては、レポート作成だけでなく、
- データ整形(Power Query)
- マスタ設計
- データモデル設計
といった前工程が重要になることが多くあります。これらの設計によって、後続の分析やレポートの作成効率が大きく変わるケースもあります。
■まとめ
Power Queryは、単なる前処理ツールではなく、分析を行うためのデータを整える重要な工程です。レポート作成で思うような結果が得られない場合は、Power Queryやデータの構造を見直すことで、改善できる可能性があります。Power BIを活用する上では、レポート作成だけでなく、データ整形やデータの持ち方を意識することが重要です。今回紹介したポイントを押さえておくことで、日々の運用や分析の精度向上につながると考えられます。
次回は、Power BIの活用において重要となる「DAX(メジャー)」について紹介します。
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執筆者: 村瀬 俊昭(株式会社クロスディーズ システム技術統括エンジニア)
前職では社内システムの運用、サーバーの監視、システム運用業務の構築、システム開発業務といった業務に幅広く携わる。2021年より株式会社佐々木総研にてロボットの設計・開発、社内SEとして従事している。釣りが趣味で、大のビール好き。
