GPT-5とは?AI進化の要点をやさしく解説

最近、ニュースやネットで「GPT-5」という言葉を目にする機会が増えてきました。名前は聞いたことがあっても、「結局何が変わったのか」「自分たちの仕事とどう関係するのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

 

GPTとは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、人間のように自然な言葉を理解・生成できるAIの仕組みです。その最新版であるGPT-5は、従来の強みをさらに磨き上げただけでなく、「統合インテリジェンス」と呼ばれる大きな進化を遂げています。これは、言葉の理解に優れたGPTシリーズと、論理的な思考や推論を強化したOシリーズを組み合わせた新しいアプローチです。

 

GPT-5の注目すべき点は大きく三つあります。第一に「マルチモーダル対応」。文章だけでなく、画像や音声、動画までも理解・生成できるため、たとえば会議の音声をそのまま要約したり、資料に画像を自動的に追加したレポートを生成する、といった使い方が現実味を帯びてきました。

第二に「長大な文脈処理」。最大40万トークンという膨大な文脈を保持できるため、これまで苦手だった長時間の議論や膨大な資料の要約にも対応できます。これにより、AIが扱える情報の規模と深さが大きく広がりました。

第三に「モデルの多様化」。フル機能版に加え、「GPT-5 mini」「GPT-5 nano」といった軽量モデルも提供されており、用途やコストに応じた使い分けが可能です。重い処理が必要な意思決定には本格版を、日常的な業務支援には軽量版を、といった柔軟な導入が考えられます。

 

もっとも、完璧ではありません。地理やスペルの誤答が報告されているように、基本的な部分での弱点は残されています。AIを活用するには、その限界を理解し、人の判断と組み合わせることが前提となります。

 

GPT-5は、単なる技術進化というより「AIの実用フェーズがさらに一歩進んだ」ことを示す存在です。企業にとっては、研究開発から日常業務に至るまで、幅広く適用できる“現実的なAI”として捉えるべき段階に入ったと言えるでしょう。

 

用語解説

  • GPT(Generative Pre-trained Transformer)
    膨大な文章を学習し、人間のように自然な言葉を扱えるAIの仕組み。ChatGPTの基盤となっている。
  • GPT-5
    2025年8月に公開された最新モデル。文章だけでなく画像・音声・動画も理解でき、より長い文脈を処理可能になった。
  • 統合インテリジェンス
    言葉の理解に強いGPTシリーズと、推論力を重視したOシリーズを組み合わせた新しいアプローチ。GPT-5で導入された。
  • マルチモーダル
    テキストだけでなく、画像、音声、動画など複数の情報形式を同時に処理できる仕組み。
  • トークン
    AIが文章を処理するときの最小単位。英単語の一部や日本語の文字に相当する。GPT-5は最大40万トークンを扱え、長文や大量資料をまとめることが可能。
  • モデルの多様化(GPT-5 mini / nano)
    GPT-5を軽量化したバージョン。処理速度やコストを抑えて日常業務にも導入しやすくしたもの。
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執筆者: 綾部 一雄(株式会社クロスディーズ 代表取締役)

ネットワーク維持管理、システム開発、ベンダー調整のスペシャリスト。前職では、600名以上の介護事業所で、介護事業用ソフトの導入や契約の電子化、テレワークシステムの導入等に幅広くに携わる。2021年より、株式会社佐々木総研にて業務効率化のためのロボットや最新技術を活用した開発を行っている。