AIブラウザ「Comet」が広げる“検索のこれから”

米Perplexityが開発するAIブラウザ「Comet」が、2025年10月2日に一般公開されました。これまで最上位プラン「Max」加入者など一部のユーザーに限定されていたものが、無料ユーザーを含め誰でも利用できるようになった形です。

Cometは、検索とAIアシスタントを一体化させた「エージェント型ブラウザ」です。従来の検索のようにキーワードを並べてリンクをたどるのではなく、AIが複数のWebページを横断して情報を整理し、要約や比較を行います。ユーザーは結果を読むのではなく、AIとの対話を通して知りたい情報にたどり着くという構造です。

この仕組みがもたらす変化は、単に「便利になる」という話にとどまりません。企業での情報収集や競合分析など、従来は人が時間をかけて整理していた作業を、AIがリアルタイムで支援できるようになります。検索という行為が“調べる作業”から“考える補助”へと移行していく可能性があります。

一方で、こうしたAIブラウザの普及には慎重な視点も必要です。AIが要約する情報には誤りが混ざることがあり、出典が明確でない場合もあります。また、AIによる閲覧内容の解析が進むほど、個人や企業のデータがどのように扱われているのかを確認する必要性も高まります。利便性と安全性のバランスを見極めることが欠かせません。

今回の一般公開は、PerplexityがAIによる「検索体験」を標準化しようとする明確な意思を示した動きです。AIがインターネットの情報をまとめる存在から、利用者と共に考えるツールへと進化しつつある中、私たちも「情報との向き合い方」をアップデートしていく段階に来ているのかもしれません。

用語解説

  • Perplexity
    米国のAI企業。対話型検索エンジンやAIブラウザを提供し、検索体験の再設計を進めている。
  • Comet
    Perplexityが開発したAIブラウザ。AIが複数サイトを横断して情報をまとめ、要約や比較を行う。
  • エージェント型ブラウザ
    検索・要約・作業支援をAIが対話形式で行うブラウザ。情報探索の自動化を目的とする。
  • AI要約
    複数の情報源からAIが要点を抜き出し、短くまとめて提示する機能。精度や出典確認が課題

 

出典・参考情報

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執筆者: 綾部 一雄(株式会社クロスディーズ 代表取締役)

ネットワーク維持管理、システム開発、ベンダー調整のスペシャリスト。前職では、600名以上の介護事業所で、介護事業用ソフトの導入や契約の電子化、テレワークシステムの導入等に幅広くに携わる。2021年より、株式会社佐々木総研にて業務効率化のためのロボットや最新技術を活用した開発を行っている。