デジタル庁が公開した「2025年活動報告」では、この4年間の取り組みの成果と今後の方向性が示されました。報告のキーワードは「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」です。
これまでにマイナポータルの利便性向上や行政手続きのオンライン化、地域のデジタル化支援などが進み、暮らしや仕事の場面で「便利になった」と実感できるサービスが増えつつあります。単なる効率化ではなく、医療・教育・防災といった生活に直結する分野にもデジタルの力が広がってきました。
今後の重点分野としては、AIの積極的活用、利用者視点のサービス拡充、サプライチェーンを含めた協調と競争力強化などが挙げられています。特にAIについては「政策立案や行政サービスそのものを支える存在」と位置づけられており、データとAIを前提とした新しい組織づくり(デジタル庁2.0)が強調されています。
注目すべきは、デジタル化が“技術導入”だけでは終わらない点です。現場で安心して利用できる仕組み、誰もが使いやすい設計、デジタル人材の育成がそろって初めて社会全体に根付くという考え方が打ち出されています。
今回の報告が示しているのは、「社会全体でデジタルを当たり前として受け入れる段階に入った」ということです。AIやクラウドといった先端技術に注目が集まりがちですが、それを安心して使えるようにする制度や仕組み、人を育てる取り組みが同じくらい重要です。今後は、こうした基盤づくりと技術の活用をどう両立させるかが鍵になるでしょう。
用語解説
- デジタル庁
日本の行政全体のデジタル化を推進する司令塔として2021年に設立された政府機関。
- マイナポータル
行政サービスの情報をまとめ、オンラインで申請や確認ができる窓口システム。
- デジタル庁2.0
AIやデータを前提とした新しい組織づくりの構想。政策立案と内部開発を強化する方向性。
 
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中小企業の頼れるパートナー
				執筆者: 綾部 一雄(株式会社クロスディーズ 代表取締役)
ネットワーク維持管理、システム開発、ベンダー調整のスペシャリスト。前職では、600名以上の介護事業所で、介護事業用ソフトの導入や契約の電子化、テレワークシステムの導入等に幅広くに携わる。2021年より、株式会社佐々木総研にて業務効率化のためのロボットや最新技術を活用した開発を行っている。
