③経営情報を可視化する「BIツール」とは?
前回のコラムでは、中小企業がデータドリブン経営に取り組む重要性と、その効果についてお話ししました。今回は、そのデータドリブン経営を実現するための強力なツールである「BIツール」について、ご紹介したいと思います。
「BIツール」とは何か?
BIツールとは、「Business Intelligence(ビジネス・インテリジェンス)ツール」の略称で、企業が持つ様々なデータを集約・分析し、経営判断に必要な情報をわかりやすく可視化するためのソフトウェアやサービスのことを指します。グラフやチャート、ダッシュボードなどを使ってデータを視覚的に表現することで、データの傾向や異常値を一目で把握できるようになります。
中小企業がBIツールを活用するメリット
- 意思決定の迅速化
データを即座に可視化できるため、経営者はリアルタイムでビジネスの状況を把握できます。市場の変化や業績のトレンドに対して迅速に対応することが可能になります。
- 業務効率の向上
手作業でのデータ集計や報告書作成の時間を削減できます。自動化されたレポート機能により、従業員はより生産的な業務に時間を割くことができます。
- コストの削減
無駄な在庫や不要な経費をデータから発見し、コスト削減につなげることができます。経営資源を最適に配分することで、利益率の向上も期待できます。
具体的な活用例
– 販売データの分析
商品ごとの売上推移や地域別の販売状況を把握し、売れ筋商品の強化や不振商品の改善策を立てることができます。
– 顧客分析
顧客の属性や購買履歴を分析し、ターゲットマーケティングやリピーターの獲得につなげます。
– 財務状況のモニタリング
売上、経費、利益などの財務指標をリアルタイムで監視し、健全な経営を維持します。
導入のハードルは高くない
「高度なIT知識が必要ではないか」「導入コストが高いのでは」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近では中小企業向けに設計された使いやすいBIツールが多く提供されています。クラウド型のサービスであれば、初期投資を抑えつつ、必要な機能をすぐに利用開始できます。
また、専門的な知識がなくても操作できるユーザーフレンドリーなインターフェースを持つツールも増えており、従業員への教育コストも低減できます。
まとめ
BIツールは、中小企業が持つデータを有効活用し、経営の質を高めるための強力なパートナーです。データの可視化により、これまで見えなかった課題やチャンスを発見し、迅速かつ的確な意思決定が可能になります。
デジタル化の一歩先を行くデータドリブン経営を実現するために、ぜひBIツールの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
次回のコラムでは、具体的なBIツールの選び方や導入事例について詳しくお伝えする予定です。

技術とノウハウでデジタルシフトをサポート
中小企業の頼れるパートナー
執筆者: 佐々木 大(株式会社クロスディーズ 取締役、佐々木総研グループ代表)
九州工業大学大学院を卒業後、システムエンジニアとして活躍。その後、家業を継ぐため、税理士の資格を取得。現在は株式会社佐々木総研の代表取締役、西日本税理士法人の代表税理士として、事業承継・DX推進支援など、主に中小企業の経営コンサルティングに従事。会計系コンサルティング会社では珍しい「自前のエンジニア集団」を組成し、クライアントのDX推進を強力に支援している。