②中小企業こそ、データドリブン経営(経営情報の見える化)を
前回のコラムでは、中小企業こそデジタル化による大きなメリットを得られる可能性が高いことをお伝えしました。今回は、その次のステップである「データドリブン経営」について考えてみたいと思います。
「データドリブン経営」とは、経営判断や業務改善をデータに基づいて行う経営手法のことです。勘や経験だけに頼らず、客観的なデータを活用することで、より正確で効果的な意思決定が可能になります。
中小企業では、「うちには活用できるデータが少ない」「データ分析は専門知識が必要で難しそうだ」と感じる方も多いかもしれません。しかし、実際には日々の業務の中で多くのデータが生まれています。売上データ、顧客情報、在庫状況、ウェブサイトのアクセス解析など、これらはすべて経営に役立つ貴重な情報源です。
まずは、手元にあるデータを整理し、見える化することから始めてみましょう。エクセルやクラウドサービスを活用すれば、初期投資を抑えてデータの管理や簡単な分析が可能です。データをグラフやチャートで可視化することで、これまで気づかなかった課題や新たなビジネスチャンスを発見することができます。
データドリブン経営の導入により、以下のような効果が期待できます。
・市場のニーズを的確に把握し、商品開発やサービス改善に活かす
・顧客の購買傾向を分析し、より高価なサービスや関連サービスの提供機会を増やす
・在庫管理を最適化し、無駄なコストを削減する
・従業員の業務効率を可視化し、生産性の向上を図る
中小企業は組織の規模が小さい分、データの収集や分析、そして意思決定までのプロセスを迅速に行うことができます。これにより、市場の変化や顧客のニーズに柔軟に対応し、大企業にはないスピード感でビジネスを展開することが可能です。
重要なのは、データを活用する文化を社内に根付かせることです。トップがデータの重要性を理解し、その活用を推進する姿勢を示すことで、従業員も積極的にデータ活用に取り組むようになります。また、全社員がデータの価値を共有することで、組織全体の意思決定の質が向上します。
「データドリブン経営」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、最初は小さな一歩から始めてみてはいかがでしょうか。例えば、毎日の売上をグラフ化してみる、顧客からの問い合わせ内容を分類してみる、といった簡単な取り組みから始めることで、データ活用の効果を実感できるはずです。
今後のコラムでは、具体的なデータ活用の方法や便利なツールの紹介など、より実践的な内容をお伝えしていく予定です。データドリブン経営に興味を持たれた中小企業経営者の皆様の一助となれば幸いです。

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中小企業の頼れるパートナー
執筆者: 佐々木 大(株式会社クロスディーズ 取締役、佐々木総研グループ代表)
九州工業大学大学院を卒業後、システムエンジニアとして活躍。その後、家業を継ぐため、税理士の資格を取得。現在は株式会社佐々木総研の代表取締役、西日本税理士法人の代表税理士として、事業承継・DX推進支援など、主に中小企業の経営コンサルティングに従事。会計系コンサルティング会社では珍しい「自前のエンジニア集団」を組成し、クライアントのDX推進を強力に支援している。