AIといえばChatGPTが代表格ですが、近年注目を集めているのがAnthropic社の「Claude」です。調査レポートによると、Claudeは性能面、安全性、ユーザー体験の3つの側面で独自の特徴を持ち、他の主要AIと並ぶ存在感を見せています。
まず性能面。Claudeは法律や医療の試験問題、数学的な推論などで高い正答率を示しており、一部ではGPT-4を上回る分野もあります。特に「長い記憶力」が強みで、10万トークン(数百ページの文書に相当)を一度に読み込み要約できるのは大きな特徴です。経営会議の長時間議事録や、分厚い報告書を一度に整理する用途には実用的といえるでしょう。
次に安全性。Claudeは「Constitutional AI(憲法AI)」という独自アプローチを採用し、人権や倫理原則に基づいた判断を組み込んでいます。危険なリクエストには単純に「拒否」するのではなく、「なぜそれが望ましくないのか」を説明してくれる点が特徴です。AIを活用する際に気になる「リスク回避」や「説明責任」にもつながります。
最後にユーザー体験。Claudeは応答が速く、思考過程を丁寧に説明してくれるため、利用者にとって納得感があります。さらにSlackやNotionといった業務ツールに組み込むことができ、日常の仕事の流れに自然に溶け込む形で使えるのも魅力です。チーム全体の生産性向上を支える“頼れる同僚”のような位置づけを目指しているのです。
もちろん、完璧ではありません。知識の網羅性や微妙な文脈理解では他モデルが優れる場面もあり、誤答(いわゆる幻覚)の可能性は残ります。だからこそ、重視すべきは「万能さ」ではなく「用途に合うかどうか」。議事録整理や情報要約など、具体的な業務に即した検証を通じて導入可否を判断することが大切です。
総じて、Claudeは「安全で使いやすいAI」を志向した存在といえます。その設計思想と実際の使い心地やClaudeの取り組みは、AIを単なる実験から“信頼できるビジネスの相棒”へと変えていく一歩を示しているのではないでしょうか。
用語解説
- Claude(クロード)
Anthropic社が開発した大規模言語モデル。ChatGPTに対抗するAIとして注目されている。
- トークン
AIが文章を処理するときの最小単位。文字や単語のかけらに相当する。10万トークンは数百ページの文書に匹敵。
- Constitutional AI(憲法AI)
AIにあらかじめ倫理原則(人権や普遍的な価値観)を組み込み、そのルールに従って出力を判断させる仕組み。Anthropic独自のアプローチ。
- 幻覚(Hallucination)
AIが自信ありげに誤った情報を出す現象。どのモデルでも起こりうるため、利用時には人間の確認が欠かせない。
- Slack / Notion
ビジネスで広く使われるコミュニケーション・情報管理ツール。日常業務で使いやすい形で提供されている。Claudeはこれらに組み込むことができる。

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執筆者: 綾部 一雄(株式会社クロスディーズ 代表取締役)
ネットワーク維持管理、システム開発、ベンダー調整のスペシャリスト。前職では、600名以上の介護事業所で、介護事業用ソフトの導入や契約の電子化、テレワークシステムの導入等に幅広くに携わる。2021年より、株式会社佐々木総研にて業務効率化のためのロボットや最新技術を活用した開発を行っている。