「生成AIを使ってみたけれど、思っていた答えと違った」
「便利そうだと思ったのに、結局あまり使わなくなった」
企業で生成AIの活用が進むなか、こんな声を耳にすることが少なくありません。
ですが、この違和感は、生成AIの性能が低いから起きているわけではありません。
多くの場合、人とAIの前提の違いのところで、少しつまずいています。
生成AIは「察してくれる存在」ではない
私たちは普段、職場でかなり省略した会話をしています。
- 「例の件、あの感じでまとめておいて」
- 「前と同じで大丈夫です」
こうしたやり取りが成り立つのは、背景や文脈を共有しているからです。
一方で生成AIは、その場の空気や社内事情を察することはできません。
入力された言葉だけを手がかりに、答えを返しています。
そのため、人に話す感覚のまま質問すると、
「そうじゃないんだけどな」というズレが生まれやすくなります。
気づかないうちに、「検索」の聞き方で質問している
これまでの検索では、できるだけ端的で分かりやすい語句を入力することが、うまく情報にたどり着くコツでした。
その感覚に慣れていると、背景や前提を省いた伝え方が、無意識のうちに当たり前になります。
生成AIに対しても同じ感覚で質問すると、返ってくる回答は、自分で検索した場合と大差ないものになりがちです。
その結果、生成AIを使うメリットを感じられないまま、いつの間にか使わなくなっている——
そんなケースも少なくないように感じます。
頭の中の「前提」が、言葉になっていない
たとえば、
「この資料を分かりやすくして」
と入力した場合、質問した側の頭の中には、
- 誰向けの資料か
- どこが分かりにくいのか
- どんな場面で使うのか
といった前提があります。
しかし、それを言葉にしないまま投げると、生成AIは想像で補いながら答えを作るしかありません。
結果として、「悪くはないけれど、しっくりこない」回答になります。
それっぽいけれど、現場とは少し違う
生成AIは、一般的で無難な答えを作るのが得意です。
一方で、
- 社内特有の事情
- 過去の経緯
- 微妙なニュアンス
といった現場ならではの背景は、こちらが伝えない限り反映されません。
「正解ではない気がする」理由は、ここにあります。
欲しい答えを引き出すためのコツ
ポイントは、検索する感覚ではなく、人に説明するつもりで聞くことです。
- 何のために使うのか
- 誰が読むのか
- どこまで分かっていれば十分か
これを一言添えるだけで、回答の質は変わります。
すぐ試せる工夫
前提を足す
× この文章を分かりやすくして
○ 社内向けで、ITに詳しくない人が読む前提です。分かりやすくして
ゴールを伝える
× この内容をまとめて
○ 上司に5分で説明するため、要点を3つにまとめて
たたき台として使う
最初から完璧を求めず、
「まず出してもらい、直す」くらいの距離感がちょうどいい場合もあります。
おわりに
生成AIは、優秀ですが、空気を読む同僚ではありません。
だからこそ、前提や期待を少し言葉にするだけで、「使えない」から「使いどころが分かってきた」に変わることがあります。
もし職場で「生成AIに聞いてもダメだった」という声があれば、質問の仕方そのものを一緒に見直してみる。それも、現場に寄り添った支援の一つかもしれません。
私たちは、生成AIの導入そのものではなく、現場で「どう聞けば使えるか」を一緒に整理するアドバイザリー支援を大切にしています。
日々のちょっとした違和感からでも、ご相談いただければと思います。
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執筆者: 赤嶺 奈美(株式会社クロスディーズ プロジェクト進行統括マネジャー)
教育学部を卒業後、株式会社佐々木総研に税務課社員として入社。その後、総務課に異動し、請求業務や勤怠管理に携わる。2019年のICT活用推進課の発足時から所属し、社内文書の電子化やRPAの開発に取り組む。IT未経験から社内DXを推進した経験を活かし、現場視点での業務改善支援やローコードツール研修を担当している。
