AIに相談できる時代に、出社したくなる理由

PCさえあれば仕事ができる時代になりました。私自身、基本は在宅で業務を進めています。移動時間がなくなり、集中できる時間が増える。これは間違いなく働き方の進化だと思います。

さらに最近、仕事の進め方がもう一段階変わったと感じています。悩んだとき、次のステップをAIに聞くと、驚くほど的確な答えが返ってくるのです。情報を整理してくれたり、抜け漏れを指摘してくれたり、優先順位まで提案してくれたりする。以前なら一人で抱え込んで止まってしまった場面でも、AIがいることで「前に進める」感覚があります。

それなのに、なぜか心のどこかがスッキリしない。便利になったはずなのに、もやもやが残る。最近はこの違和感をよく考えるようになりました。

答えは、たぶん「共感が足りない」ことです。AIは文字で「そうですね」「あなたの言う通りです」と返してくれます。でもそれは、私と長年付き合ってきた人がくれる共感とは違う。私の性格や過去の経験、いま抱えている事情、言葉にしていない背景まで含めて受け止めてくれるような安心感は、まだそこにはありません。

では、その不足分を埋めるために、AIに自分のことを全部教え込めばいいのか。私はそれは危険だと思っています。AIが自然言語で会話できるがゆえに、身近に感じてしまい、個人的な相談をし過ぎてしまう。実際にそうしたリスクを指摘する記事を目にして、まさにその通りだと感じました。仕事の相談であっても、背景を詳しく話そうとすればするほど、こちらの情報は深くなっていきます。便利さと引き換えに、守るべきラインを曖昧にしてしまうのは避けたいところです。

だからこそ最近、私は「目の前にいる人間に報告したい」と思うことが増えました。同じ会社というコミュニティに属し、同じ方向を向いて仕事をしている人に話すこと。そこには、AIにはない“縁”があります。成果の報告だけではなく、悩みや迷いも含めて共有できる関係性がある。そこで交わされる短い一言や表情、間の取り方が、思った以上に自分を支えてくれることに気づきました。

もちろん、仕事は事実と成果で評価される部分が大きいです。それでも、それだけでは測れない人間味のようなものが、これからの時代はむしろ重要になる気がしています。便利な道具が増えるほど、最後に差が出るのは「誰とどう働くか」「どう信頼を積み上げるか」なのかもしれません。

実は私自身、一時期デジタルに頼りすぎて、社内の関係性をないがしろにしてしまった反省があります。効率や正しさを追いかけるほど、目の前の人に向き合う時間を削ってしまった。今はその反省を踏まえて、コミュニケーションや共感、相談のしやすさといった部分を、改めて磨き直したいと思っています。

在宅とAIで、仕事はどこでも進められるようになりました。だからこそ私は、あえて会社に行く意味をもう一度考えています。効率のためだけではなく、関係性のために。答えを得るためだけではなく、納得するために。
…もっとも、働き方の正解は一つではありません。私の考えもまた変わるかもしれません。それでも今の私は、「同じ場にいる価値」を大切にしていきたいと思っています。

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執筆者: 赤嶺 奈美(株式会社クロスディーズ プロジェクト進行統括マネジャー)

教育学部を卒業後、株式会社佐々木総研に税務課社員として入社。その後、総務課に異動し、請求業務や勤怠管理に携わる。2019年のICT活用推進課の発足時から所属し、社内文書の電子化やRPAの開発に取り組む。IT未経験から社内DXを推進した経験を活かし、現場視点での業務改善支援やローコードツール研修を担当している。