デスクトップ版Power Automate(以下、PAD)でフローを作成する際には、「変数」という概念を避けて通ることはできません。
変数には、データの形式を示す「データ型」があり、これを理解することでデバッグが容易になり、より品質の高いフローを作成できます。
PADでは、変数のデータ型が自動的に決定される仕様のため、開発者がそれを意識せずに作業を進めてしまうこともあります。
その結果、変数の理解が曖昧になりがちです。
本コラムでは、初心に立ち返り、PADにおける変数とデータ型の基本についてわかりやすく紹介します。
■「変数」とは
「変数」とはデータを格納するための「箱」のようなものです。この「箱」からデータを出し入れすることができます。PADのフロー内で扱われる「変数」はすべてグローバル変数(フロー内のどこからでも使える変数)となります。PADでは「変数」カテゴリの「変数の設定」アクションから作成することができます。


■「変数」のデータ型
「変数」にどのようなデータ形式を格納するかによってデータ型というものを定義する必要があります。ただし、PADでは変数を作成した時点で自動的に変数のデータ型が定義され開発者はデータ型をほとんど意識する必要がありませんが、データ型によってアクションの設定方法やデバッグの際にも役立つためフロー内で扱われる変数のデータ型を把握しておくことは重要となります。代表的な変数のデータ型を紹介します。
■テキスト型

テキスト型は文字情報を扱うためのデータ型で日本語、記号、英数字などで組み合わされた文字列を定義した場合にテキスト型となります。
■数値型

数値型は数値情報を扱うためのデータ型で半角数値を定義した場合に数値型となります。数値型変数同士で四則演算を行うことが可能です。ただし、0を先頭した値を場合はテキスト型となります。
■Datetime型

Datetime型は日付情報を扱うためのデータ型で基本的には「現在の日時を取得」アクションで生成された変数がDatetime型となります。「テキスト」カテゴリの「日時の値をテキスト値に変換」アクションで表示形式を指定したテキスト型へ変換が可能です。
■リスト型


リスト型は複数のデータをまとめて格納することができる型で定義した値とリスト型変数内でどの場所に存在するかを表すインデックスで構成されています。例えば、図7より「ぶどう」を取り出したい場合は以下のように指定します。
%NewVar[1]%
「変数の設定」アクション以外で「変数」カテゴリの「新しいリストの作成」、「項目をリストに追加」アクションを組み合わせることでもリスト型を定義することができます。活用場面としては繰り返し処理などで複数のデータを一つの変数に保持しておきたいときなどに役立ちます。
今回はPAD内で使用される基本的なデータ型について紹介しました。「変数」のデータ型を理解することで今現在どのような状態でデータが変換されているのか把握でき、データ型に関連するエラー対応の原因特定などもしやすくなります。本コラムをきっかけにデータ型の理解を深めていただけたらと思います。次回はインスタンス型、データテーブル型、カスタムオブジェクト型といったデータ型を紹介します。

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執筆者: 村瀬 俊昭(株式会社クロスディーズ システム技術統括エンジニア)
前職では社内システムの運用、サーバーの監視、システム運用業務の構築、システム開発業務といった業務に幅広く携わる。2021年より株式会社佐々木総研にてロボットの設計・開発、社内SEとして従事している。釣りが趣味で、大のビール好き。